気をつけてほしい心電図所見と心疾患症状 | 東京メディカルクリニック

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気をつけてほしい心電図所見と心疾患症状

ECG

心電図で所見があったけどどうすればよいかわからない方へ

健診において、心電図は採用時の企業健診や40歳以上の会社の定期健診では必ず行われます。その心電図検査で脚ブロックやT波の平坦化、ST低下、左室高電位などの異常所見ありと記載があってもよくわからないからと放置していませんか?
健診で心電図をとって返却されたコメントには素人にはとても理解できないような専門用語が書かれているのを目にして、不安になる方も多いのではないかと思います。 心電図検査(Electrocardiogram: ECG)とは、心臓の電気的活動を体表の電極で検出して調べる検査です。心電図検査では心臓の様々な情報が得られますが、ざっくり言うと、不整脈と虚血性心疾患、この2つをチェックする検査です。
心電図には、「正常」波形とされている波形記録があり、それに当てはまらなければ「異常」と判定される(特に心電図健診において)ことになるわけです。 この所見は経過観察で良いのか、病院に行って精密検査を受けたほうが良いのかわからないという方が非常に多くいらっしゃいます。
しかし、「正常」波形ならば心臓に病気がなく、「異常」波形は心臓に病気を抱えている、と必ずしもなるわけではありません。
また、聴診器のみの診察では限界があるように、心電図検査のみでは心臓の状態や病気のことが全てわかるわけではありませんので注意が必要です。
そこで、このページでは気をつけるべき所見、症状、精密検査、心電図の役割が明確になっているように、ご説明致します。

心電図検査の役割

心臓は拍動すると同時に電気が流れているのですが、その電気興奮を波形として記録したものが心電図になります。
健診で行われる心電図検査12誘導心電図といい、一枚の心電図記録には12種類の波形が記録されます。12種類もの波形を記録する理由は、心臓を流れる電気興奮を12の方向から観察し、全体像をしっかりと把握するためになります。
心電図には、「正常」波形とされている波形記録があり、それに当てはまらなければ「異常」と判定される(特に心電図健診において)ことになるわけです。
しかし、所見があった方の大多数は経過観察であまり心配ない場合がほとんどです。
健診とは簡単な心電図のスクリーニングで異常を指摘して二次検査で本当に治療を必要とする方をふるい分ける性質のものですので、精密検査では要経過観察が大半であることは当然のことなのです。
そして、その中からおよそ1~2割程度の本当に治療をしなければならない患者さんをみつけることが重要なのです。その意味からすると高血圧で要精密検査を指摘され要治療になる患者さんの方が遥かに多いのです。

心電図で気をつけるべき所見

まず健診心電図で重要なものは、虚血性心疾患と不整脈の二種類があります。
虚血性心疾患とは心臓の血管である冠動脈が細くなる狭心症や閉塞する心筋梗塞があります。
健診を受けるくらいですから心電図をとるときに胸痛などの自覚症状がない方がほとんどです。
しかし、過去に胸痛を経験したことがある方は要注意です。
更に、高血圧や糖尿病や高脂血症を過去に指摘されたり喫煙者も要注意です。
狭心症や心筋梗塞は症状がある場合は緊急性を要しますが、症状がない場合はまず一呼吸おいてから医療機関に受診されても大丈夫です。逆に、症状がある場合はできるだけ早めに受診しましょう。

では心電図で要精密検査を指摘される具体例に入ります。
所見欄には心筋虚血心筋障害と書かれていても、心エコーなどの精査をしても異常がないことも多いです。しかし、そのように指摘された場合は、以前に発症して本人が気づかない心筋梗塞などの虚血性心疾患があるばあいがありますので、必ず一度は心エコーなど受ける事をお勧めしています。
その場合はコメントにQ波とか下壁梗塞疑いとかR波減高などと書かれていることが多いので要注意です。
しかし、実際に検査すると異常のない患者さんもかなりいます。
また左室肥大とか心肥大と書かれることもあり、その場合高血圧による圧力負荷による心臓の筋肉の肥大で将来心筋梗塞などのリスクになりやすいので要治療になることがありますが、実際に心臓超音波で見ると異常ない事もよくあります。
心臓肥大があれば結局は高血圧の治療をして心臓肥大による将来の心臓疾患の予防をすることが重要です。

次に不整脈です。不整脈は範疇が広いので一括りに扱うことは困難ですが、敢えて言えば不整脈による突然死の可能性のある患者さんを見つけ出すのがねらいです。
よく書かれている所見で上室性期外収縮心室性期外収縮で要精査と書かれることが多いのですが、心臓超音波や24時間心電図をとって精密検査をしても異常がなく要観察の方が大半です。
多発性期外収縮頻脈徐脈と書かれている場合は要注意のことがあります。その場合は治療が必要なこともあり治療不要でもしっかりとフォローしなければならないこともあります。
ST異常は、重篤な疾患のサインである可能性があります。
ST上昇の場合、狭心症、ブルガダ症候群などの診断につながることがあります。
ST低下の場合、心内膜面に虚血がみられる場合があります。
また最近のトピックスでブルガダ症候群疑いという所見をよく目にするようになりましたが、これは突然死の可能性がありますので要注意です。
異常Q波は、心筋梗塞の特徴的な波形ですが、左室肥大左脚ブロックなどでも認められることがあります。
ただし、健康な人でも、体質によって異常がみられることもあります。
実際には要精密で検査してもほとんどの患者さんは異常なしや要観察で本当に治療の必要な患者さんは少数ですが、ブルガダ疑いの場合は必ず精密検査が必要です。
その他では、完全右脚ブロック完全左脚ブロック不完全右脚ブロック1-3度房室ブロックなどと書かれることがあります。この場合も本当に治療が必要な方は少数なのですが精密検査が必要です。
特に完全左脚ブロックと2-3度房室ブロックは心臓に異常があることが多いのでフォローや治療が必要ですが、動悸や息切れや胸痛などの自覚症状がなければ要観察のことも多いです。
大人の不完全右脚ブロックは異常がない場合が多いですが、小学生で不完全右脚ブロック指摘された場合はときに先天性心臓疾患の可能性もありますので心臓超音波が必要です。
しかし過去の三歳児健診などで異常指摘されていない場合はまず先天性心疾患の可能性は低いです。
その他に時計回転反時計回転左軸偏位右軸偏位の所見がありますが、その中の一部は本当に異常があるのですが異常でないことが多いです。
まとめれば精密検査で心筋梗塞と狭心症を否定できれば一安心なので、上記のような所見がある方は一度、循環器内科を受診してもらえれば安心です。

気をつけるべき症状

ECG

脈拍が1分間に50以下を「徐脈」といい、40以下になると息切れやめまい、立ちくらみなどの症状が出やすいです。
100以上を「頻脈」といい、120以上は病気を疑われ、動悸や息切れ、胸痛やめまい、失神などの症状が現れるので、これらの症状がある方は、健診のときに異常なしと診断されていても必ず受診しましょう。
また脈が規則的でなくバラバラになる心房細動や、不快感や疲れやすいなどの症状もあり、不整脈の種類や程度により異なるのでこれらの症状にも注意しましょう。
最も多い「期外収縮」は危険性は少ないです。自覚症状がなく、定期健診で偶然発見されることもよくあります。
脳への血流が不十分となり、失神やふらつきを起こす重篤なものは、頻脈性不整脈では「心室細動」「持続性心室頻拍」「トルサード・ド・ポワンツ」など、徐脈性不整脈では「完全房室ブロック」「洞不全症候群」などがあります。
また、心臓が血液を全身へと送れなくなり、息切れ呼吸困難などの心不全症状が現れたり、心臓内に血栓ができて脳梗塞の危険が高まる場合もあります。
これらの症状は一概に循環器と連想できない場合もありますので、上記のような症状があれば、循環器内科までご相談ください。

心電図検査を受けた後の注意点

心臓は規則正しく動いていますが、それは心臓で規則的に電気が発生して流れているからです。心臓の規則正しさが乱れる「不整脈」の診断は、心電図検査の最も得意とする領域になります。
「心筋梗塞」や「狭心症発作」のときには、心臓の電気的活動に異常が生じるので、異常波形が出現します。
また、「心筋症」という心筋に障害が起きている疾患でも異常波形が記録されることが多くなります。
しかし、弁という心臓内の構造物の働きが悪くなっている「弁膜症」では、だいぶ進行してからでないと心電図波形は変化してこないことが一般的です。
また、「狭心症」や「不整脈」などでは発作が起こったときでないと心電図波形に変化がみられないことや、健診時には変化が起こっていない場合もありますので、測定時の心電図が正常だからといって心臓病がないとは言い切れません。心電図所見がなくても症状などがあれば必ず、循環器内科を受診しましょう。
逆に、健診結果で「異常」と判定された波形であっても、最終的に「問題なし」や「経過観察」と判断されるケース(病気とは言えず、治療の必要性なし)も結構あります。
例えば、心臓の基本的な働き(全身に血液を送るポンプ機能)は正常で、突然死を起こす可能性は高くないと判断できるのであれば、正常とはやや異なる電気興奮をしていたとしても、そのケースでは「問題なし」「経過観察」という結論になることがあります。

精密検査とその他の心臓の検査

健診後の精密検査で発作時の心電図記録が有用だと考えられるケースでは、運動負荷心電図や24時間心電図(ホルター心電図)といった特殊な心電図検査を行います。
心臓の形態やポンプ機能を確認するためには、心電図よりも心臓超音波検査(心エコー)が有用になります。
また、狭心症や心筋梗塞を疑うときには、冠動脈CT検査や心筋シンチグラフィー、心臓カテーテル検査といった検査が、病気の診断の確定や治療法の決定に必要となります。

心疾患を予防するには

疲労やストレスの解消、適度な運動、適切な睡眠、脂肪分やコレステロールの高い食事を控えたバランスのよい栄養、禁煙や禁酒など、日頃の生活習慣の改善が心疾患の予防につながります。
高血圧、糖尿病、動脈硬化、肥満、心臓病にも注意しましょう。
また、発症しているが自覚症状がない場合もあるので、定期的に健診を受けて自身の心臓機能を把握しておくことも重要です。
成人の脈拍数は通常1分間に約60~100回です。手首の内側の骨の近くに脈が触れるところがあるので、普段の自分の脈拍数を測定し、数値や規則的かを確認するのもよいですし、最近はウェアラブル端末(時計に脈拍計測できるもの)も出てきているので、普段の通常の脈拍を知っておくのに便利かもしれません。

当院は帝京大学循環器科と連携し、治療の必要な方をご紹介しております。

上記のような症状が出たらかかりつけの先生にご相談下さい。
当院では、循環器内科にご相談下さい。

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